亜熱帯の楽園・奄美の生物多様性


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奄美・琉球を世界自然遺産に

平成25年1月、政府は世界自然遺産登録に向けた国内候補として、鹿児島県から沖縄県にまたがる「奄美・琉球」を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定リストに追加掲載することを決定しました。

但し、ユネスコに提出した関係文書には、自然遺産の対象となる範囲を「北緯24~29度、東経123~130度にかけての南北約850キロに点在する島や海域」としていたため、ユネスコは「広すぎて分からない」と対象地域の特定を求めており、リストへの追加を保留しています。今後、推薦区域の詳しい指定を含め、正式な推薦書の提出に向けた手続きや準備を本格化させる必要があります。また、推薦の条件となる国立公園化など、保護地域の設定や地権者との調整など、取り組まなければならない、多くの課題が残されています。

環境省は最短で2016年夏の登録を目指しており、来年1月末までに対象とする地域を決め、ユネスコに申請する方針を示しています。同省は「世界遺産の価値があるエリアを厳選したい」としており、今後、奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、西表島の4島を軸に絞り込みを進めるとみられます。世界遺産は「国や民族を超えて人類が共有し、次世代に受け継ぐべき価値」とされています。奇跡のように残されたこの地域の自然環境を未来へ受け継ぐためにも、私たちはその価値を広く伝えなければならないと考えました。

ここでは、生物多様性を育む奄美地域の特徴的な自然を、<森・川・マングローブ・里山・海>という自然のつながり合いと、人々が古くから自然と共生してきた伝統的な暮らしと文化、生活のあり方などを交え、「生物多様性の豊かさ」が、「奄美の暮らしの豊かさ」につながっていることを立体的な視点から少しづつ紹介していきたいと思います。